住宅ローン本審査と仮審査の違い

住宅ローンの審査の傾向と流れ

融資の審査は何かと話題になりがちですが、消費者金融が大手同士であっても審査通過率が2倍以上違うように、住宅ローンも審査ハードルは金融商品によってかなり違います。
ですが、全体的な傾向としてフラット35と民間の住宅ローンを比較すると、民間の住宅ローンは金融機関の裁量部分が大きくなる点が特徴で、審査基準は厳しめとなっています。その為、確実に融資をパスしたい人にとっては、審査通過のポイントを把握する必要があります。

民間ローンは国によって定められた審査ルールなどがあるわけではありませんから、仮審査と本審査のタイミングや調査項目は金融機関と契約内容によって変動し、(後述で詳しく解説します)何が重視されるかも大きく異なる点が特徴です。
また、申込みから融資決定までの、どの段階で仮審査と本審査が行われるかについても、同じ金融機関であっても特殊なケースなどが発生すると変化しますので、画一的にこうであると断言する事はできないという点を、ご了承下さい。

それらを前提とした上で一般的な審査の流れのイメージを掲載しますと、以下のようになります。
  1. 申込時の情報を元に、「金融機関」が事前審査
  2. 申込受付後に、信用情報を元に「金融機関」が仮審査
  3. 仮審査後に連帯保証人となる「保証会社」が審査(一般にはこれが本審査と呼ばれます)
  4. 保証会社の審査通過後に「金融機関」が最終的な融資判断を行う
もちろん、金融機関によっては1〜4のいずれかを省略している機関もあるでしょうし、申込者が超優良顧客であればほとんど審査しないケースもあるでしょう。

厄介なのは本審査

一般的に民間金融機関の住宅ローンで厄介なのは、上記の3番に該当する保証会社の本審査です。実際、仮審査である1や2で問題ないと判断されたのに、本審査に落ちたというケースは決して珍しい例ではなく、頻繁に起きる事例でもあります。
このようなギャップが起きてしまう理由は審査実行機関の違いにあります。つまり、事前審査は金融機関が行うが、本審査は保証会社が行う点です。
両者は受けるリスクが大きく異なり、金融機関はお金を貸すにあたって、万が一債務者の支払いが滞納してしまっても、連帯保証人である保証会社から資金を回収するわけですから、比較的安全な立場で融資を行えます。従って、(実際にそのような基準で融資するか否かは別として)極端に考えるならば保証会社に断られてしまいそうな人を除外したり、明らかに滞納しそうな不安のある人を避ける審査を行うだけで良いのです。
対して、保証会社は債務者に滞納されてしまっては、自身が受ける損害は莫大なものとなってしまいますから、金融機関と比較して慎重に審査を行う傾向があり、結果としてこのように本審査が厳しくなってしまうのです。当然信用情報機関から受けた情報も細部に渡って審査を行いますし、トラブルになりそうな資金需要者は積極的に排除する傾向にあります。

実際に重視される項目

全体の流れを掴んだところで、次に気になるポイントは審査にあたってどんな情報が重視されるかについてです。そんなもの金融機関によって違うと言ってしまうのは簡単ですが、実はこれらの傾向は国土交通省の調査によって明らかにされているのです。
詳しく解説すると、国土交通省は毎年、金融機関に住宅ローンの審査にあたって重視する項目をランキングにしているのですが、これらのデータを過去のものと比較する事で全体の流れを掴む事ができます。

H26 国土交通省 民間住宅ローン調査 (P17《pdf表示で21ページ目》に詳細情報が記載されています)
http://www.mlit.go.jp/common/001069616.pdf

H21 同上調査
http://www.mlit.go.jp/common/000111089.pdf

重要項目から比較していくと、平成21年調査では完済時年齢、返済負担率、借入時年齢の順番で重要項目が順位付けされています。これに対して5年後である平成26年調査では完済時年齢、借入時年齢、返済負担率の順となり、ここ5年で2位と3位が逆転している点が見て取れます。
更に、両者を比較すると健康状態と雇用形態が以前と比べて大きく比率を上げている為、金融機関全体の流れとして高齢者や団信審査に落ちてしまいそうな人に対しては、以前よりはるかに慎重になっていると言えるでしょう。

また、よく話題にされる所有資産や就業先の規模についてですが、前述のトップ3の審査項目の半分以下の金融機関しか重視すると回答していないので、就職先が直接審査に影響するウェイトは意外と影響は薄いものだと言えます(ただし年収が大きく違う場合は別です)。過去のデータと比較すると若干変動はしているものの、就職先などの情報を気にするよりは、より上位項目の条件を変更する方が審査クリアに効果的な手段だと判断する事ができます。
知ったところでどうにもならない項目もありますが、健康状態などは軽度なものであれば生活習慣を改めるだけで改善できるものも多いので、人によってはとても役立つデータでもあります。

フラット35は審査が甘い?

民間ローンの審査基準を知った後で気になるのは、当然フラット35です。フラット35については以前から審査基準が甘いという胡散臭い情報が囁かれていますが、意外なことに一部の審査基準においてこの情報は真実です。
また、「審査基準さえ満たせば他の条件がどうあれ審査には通る」という理解をしておくとフラット35の正確なイメージに近付く事ができるでしょう。

フラット35の仮審査

とはいえ、以前の住宅公庫と違って機構が直接融資を行うわけではありませんから、仮審査として金融機関が審査を行います。この審査はある程度金融機関の裁量が影響する部分となりますから、人によって審査に通った、落ちたという分岐となりうるポイントです。
フラット35の事前審査で求められるポイントは大きくわけて3つあり、
  1. 購入対象の住宅がフラット35の求める面積、技術水準をクリアしているか
  2. 金利を含めた融資額と年収で割り出される返済負担率が過大ではないか
  3. 概ね3年の安定した収入や国籍、永住権等の個人必要条件をクリアしているか
という点が審査される点にあります。
なお、通常の住宅ローンの融資と違って、職業による差別化や印象面などの細かな審査は行われない傾向にあります。フラット35自体が国民の健全な住環境に資する事を目的としている為、金融機関が通常の住宅ローンよりも厳しい審査を行う事は稀だといえるでしょう。

フラット35の良いところ

フラット35の良いところは、本審査においても融資希望者の属性が機構の求める水準をクリアしていれば、問題なくパスできる点にあります。フラット35の仮審査後は融資金額との調整もあり、信用情報照会の同意に基づいて信用情報が調査されますが、フラット35は連帯保証人として保証会社が付くわけでもありませんし、団信に加入が義務付けられているわけでもありませんから、本審査において通常の住宅ローンより厳しいという事は考えにくいという結論になります。